
場所的要件とは、運送業を経営していくにあたり必要となる施設、具体的には「営業所」「睡眠施設」「休憩施設」「車庫」「(場合によっては)保管施設」に関して求められるものです。
これらの施設が都市計画法、建築基準法、農地法、消防法、道路交通法等に抵触していないことが前提となります。これらをすべてクリアしないと許可が下りませんので場所選びには最新の注意が必要です。
営業所の要件
■使用権原があること
営業所は自己所有・賃貸のいずれでも構いませんが、使用権原を有することの裏付けが必要になります。自己所有の場合は建物の謄本が必要となります。
また、自己所有であっても共有持ち分の場合は、所有者全員の使用承諾書の提出が求められます。賃貸はアパートでも大丈夫ですが、事務所として利用可能か否かが書かれた賃貸契約書が必要です。
また、賃貸借の契約期間が1年に満たない場合は、契約期間満了時に自動更新される旨の記載が契約書に記載されている必要があります。また、ない場合は誓約書を添付します。
■農地法、都市計画法、建築基準法等関連法令に抵触していないこと
農地法、都市計画法、建築基準法等関連法令に抵触している物件を営業所として使用することは出来ません。営業所を構えようとする土地の登記簿上の地目が田・畑の場合は、農地転用手続きが必要になります。農地転用は時間が掛かる上、実際に農地が宅地にできるかどうかの判断基準も複雑です。さらにその土地が市街化調整区域の場合は開発許可が必要となります。
また、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住宅専用地域では、用途地域内の建築物の用途制限の関係で、原則として運送業の営業所の設置は出来ません。第二種中高層住宅専用地域も面積によりますが不可となります。(面積が1,500㎡以下であれば2階以下は可)市街化調整区域は基本的に建物が建てられないため調整区域の車庫にプレハブを建てて営業することは難しいと考えてください。
■営業所の面積について
営業所の面積について具体的な数字の規定はありませんが、事務机、椅子、棚などが置け、事務作業が出来る程度の面積は必要です。
休憩・睡眠施設の要件
休憩・睡眠施設は営業所または車庫に併設しなければならず、単独では設けることはできません。営業所に併設する場合には、事務スペースと休憩・睡眠スペースを分けなければならず、同室を使う場合はパーテーションで区切る必要があります。
面積ですが、運転手が休憩・睡眠施設で睡眠を取る必要がある場合は、一人あたり2.5㎡以上の広さを確保しなければなりません。運転手が睡眠を取らない業務体系の場合はソファーなどがあれば十分です。
その他、使用権原があること、農地法、都市計画法、建築基準法等関連法令に抵触しない施設であるこということは営業所と同様です。
車庫の要件
運送業の車庫は、市街化調整区域でも可能ですが農地はそのままを車庫にすることは出来ず、農地転用許可が必要となります。但し、前述した通り農地転用許可はハードルが高く、必ずしも許可が下りるとは限りません。工数を考えれば農地以外の土地を探したほうが賢明であると言えます。
農地であるか否かは、土地の謄本(登記事項証明書)や管轄の農業委員会で確認することが出来ます。
■営業所との距離
会社には点呼義務が課されているので、本来ならば営業所に併設されているのが理想です。しかし実際は費用面において厳しいのが実情だと思います。運送業許可には、営業所と車庫の間の距離が決められています。
営業所と車庫の距離が直線距離で10㎞以内でなければなりません。(ただし、東京23区と横浜市、川崎市は20㎞以内)この距離は直線距離なので地図上でも確認できますが微妙な場合は注意が必要です。
■車庫の面積
運送事業に使用する車両すべてが駐車できる面積が必要です。車両と車庫の境界、車両と車両の間に50㎝以上の間隔を確保する必要があります。

■車庫の前面道路
車両制限令に基づき、車庫の出入り口の道路幅員が運送業の車庫に適しているかを判断されます。そのために幅員証明の提出が必要です。その道路の管理者(県や市町村)で取得しますが、国道の場合は不要です。
道路幅員が6.5mあればおおよそ問題ありませんが、それ未満は車庫として使用出来ない場合があります。6m道路と言ってもそれが道路幅員なのか、有効車道幅員なのかで判断が分かれます。自治体によっても判断が変わってきますので、契約前に担当者に確認しましょう。
■営業所と車庫選び
運送会社を営む上で、利便性を考えると車庫と営業所が併設されていることが理想です。ただ、「市街化調整区域は車庫の土地利用料が安く済むが建物は建てられない」「営業所と車庫を別々にした場合、利便性が悪くなる、車庫の土地使用料が発生する」など、施設選びにはかなりの時間と労力が必要です。
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